『ヴェローナの二紳士』名古屋公演
今日は『ヴェローナの二紳士』名古屋公演の初日を観てきました。
原作はシェイクスピアの初期の作品だそうですが、舞台を現代(?)に置き換え、曲もロック調のドタバタでハチャメチャなラブコメディになっています。
ストーリー展開もかなり強引だし、ツッコミどころ満載ですが、個性的でエネルギッシュなキャストの皆さんのパワーで、そんなところもねじ伏せた感じ。
社会風刺も織り込んでいるとの触れ込みでしたが、ところどころのセリフに出てくる程度で、ストーリーには直接絡んできません。
何となく賛否両論あるのが分かる気がしました。でも、だからこそ面白いのかもしれませんね。
賛否両論ある作品の方が面白いことの方が多いですもん。
私は、もともとドタバタコメディ系が好きなので、この作品も好きですよ♪」
客席降りも客いじりも多く、前方席の方はかなりいじられますよぉ。場合によってはハグされちゃうかも!
幕開けからグッと引き込まれて、たくさん笑って、ちょっとホロッとして、とっても楽しかったです!
観てると、頭の中に「?」とか「!?」とか「!!!」がいっぱい飛び交いますけどね(笑)
それから、キャストの皆さん(全員ではありませんが)の楽器の生演奏も見どころです。
主役の西川貴教さんのギターや武田真治さんのサックスはもちろんのこと、伊礼彼方くんのギター、坂口涼太郎くんのウクレレ、斉藤暁さんのトランペット、他にもカーパッション系を使ってるキャストの方が何人か。誰が何を使ってたかがよく分からなかったり、楽器の名前が分からなかったりで、すいません(^^;
一応、休憩時間は20分あるのですが、その間もキャストの皆さんが舞台や客席に出てきて、観客とおしゃべりしたりしていて、そのうち斉藤さんのトランペットや武田さんのサックス演奏などで盛り上がり、そのままの流れで2幕が始まりますので、用が済んだら早めに客席に戻った方がいいかも。
では、ここから恒例のメインキャストを中心とした各キャストの皆さん一人一人の感想を書いていきたいと思います。
まずは主役の二紳士役のお二方。
プロデュース役は西川貴教さん。言わずと知れたあのT.M.Revolutionの西川さんです。
プロデュースは普通に見たら、恋人を裏切り、友人を裏切り、ブレまくりの嫌なヤツですが、西川さんは愛嬌たっぷりに演じ、嫌なヤツだけどなんだか憎めないキャラクターとして出来上がっていました。
でも、プロデュースにとってはジュリアへの気持ちもシルビアへの気持ちも嘘じゃなくて、その時は本当に一所懸命なんだというのが伝わってきました。
舞台の端から端まで走り回り、観客をいじり、踊り、パワフルに歌いまくり、男性としては小柄な西川さんのあのパワーはどこから出てくるんだろう?って感心しちゃいました。
舞台俳優をメインとして活動している方々とは少し違った場の盛り上げ方も、なんだか新鮮でした(*^-^*)
プロデュースの友人のヴァレンタイン役は、以前CHEMISTRYのメンバーとして活動していた堂珍嘉邦さん。
ヴァレンタインはプロデュースとは正反対の、一本気で一度思い込んだらイノシシのように突き進むタイプ。
でも、あまり熱さは感じさせず、燃える炎を内に秘めているようなイメージ。
一応、この作品の登場人物の中では一番まとも・・・かな?(笑)
ミュージカル出演は初めてとは思えないくらい堂々とした演技でした。もっとも、堂珍さんは歌手としてステージに立ち、ドラマや映画にも出演されてますからね。
このお二人は、アーティストとしてのイメージと役作りの仕方があまり変わりなくて、個性がそのまま生かされている感じでしたね。
プロデュースの恋人ジュリア役は、元SPEEDのメンバー島袋寛子ちゃん。
よく働くしっかり者のジュリアをキュートに演じています。
ヴェローナからミラノに出てきて、シルビアに恋をしてしまったプロデュースだけど、シルビアは全く相手にしていないことを見抜いたジュリアは、「彼がフラれて傷ついて戻ってきたら慰めてあげるの。戻ってきてくれたらいいのよ」って歌う姿は、とっても健気で抱きしめてあげたくなります。
ミラノを治めるミラノ大公の娘シルビア役は霧矢大夢さん。
その美貌でモテモテなシルビア。好きでもない相手と結婚させられそうになって、悩み、反発し、あれこれ策を練る様子がコミカルだけどちょっと切ない。あれほど恋人のエグラモーを求めていたくせに、簡単にヴァレンタインに乗り換えてしまう結構ひどいお姫様なんだけど、キリヤンが演じるととても魅力的でキュートなんですよね~。
タカラヅカで現役時代からダンスと歌に定評があり、男役も女役も魅力的だったキリヤンは、さすが期待を裏切りません。
シルビアの婚約者チューリオ役は武田真治さん。
武田さんがチューリオとして出てくるのは1幕の後半からなので、他にも、なかなかの破壊力がある筋肉自慢(?)のキューピット役もされてます。
キューピット役では、武田さんの完璧なまでに美しい筋肉が見られますよ~。
チューリオ役は、ちょっと抜けてるお坊ちゃんな感じ。でもアホではないので、婚約者であるシルビアに相手にされていないことはちゃんと分かっていて、ふとした時に哀愁を感じさせます。
最後は予想もしなかった相手とハッピーエンド。
武田さんがサックスを吹く姿はやっぱりステキです~♪
この作品の中で一番破壊力があるシルビアの恋人エグラモー役は上原理生くん。
でもエグラモーとしての出番は2幕の少しだけなので、それ以外の時はチョイ役であちこちの場面に出てきます。
まるでいたずらっ子みたいに楽しそうです。
レミゼでの上原くんを知っている方が、あのままのイメージでこの作品の上原くんを観ると、度肝を抜かれます。それくらい強烈な印象を残すエグラモーになっています。
しかも、一瞬だけではあるもののキャストの中で一番露出度高いですからねぇ。私は1階の上手側端の席だったんだけど、しっかり上原くんの生尻が見えちゃったよ(//∀//)
この作品でのエグラモーは原作とはかけ離れたキャラクターになっているようですが、恋人シルビアを一途に愛するという意味では共通するのかな?
他の役がロックを中心としたノリノリの曲を歌う中、エグラモーだけが朗々とシルビアへの愛を歌い上げるという、宮本さんの演出は確かに破壊力ありますねぇ。この破壊力は相当歌が上手い人じゃないと成立しないと思うよ。
殺陣もかっこよかったです。
上原くんはこの役で、役者として一皮むけたのではないでしょうか。なんとなく自分の殻を打ち破った自信のようなものを感じました。
関係ないけど、今回の作品でますます上原くんに嵌ってしまったよ!
劇場に上原くんのファンクラブのチラシが置いてあって、「仕事で目標を達成するまでは誰のファンクラブにも入らない」って決めてるのに、チラシを見たらその気持ちが揺れちゃったくらい。でもやっぱり今はやめとく。
ミラノ大公役のブラザートムさん。
ミラノ大公という役柄のせいもありますが、あの貫禄と存在感はすごいですね。出てきただけで空気が変わります。
娘のシルビアをとても大切に思っているんだけど、それが違う方向へ向かってしまって、娘とすれ違ってしまっている父親としての哀愁と強がりと戸惑いを丁寧に表現されてました。
次は召使いたち。
ヴァレンタインの召使いスピード役の伊礼彼方くん。
すごく大きな白菜頭です!!
ラテン系のノリで、ちょっとヤンキーっぽくて、召使いなのにヴァレンタインに対して結構上から目線(笑)
イケメンで、いつもはニ枚目な役が多い伊礼くんですが、今回は三枚目であまりモテない役みたい。
でも最後はハッピーエンド。
スピード役としての出番はそんなにないんだけど、主役級もいける役者さんだけあって、脇役でも、やっぱり存在感がありますね。
スピード役でない時は、舞台の隅でギターを弾いています。
あ、そういえば今日はアンサンブルキャストの中で、もう一人スピードより小さめの白菜頭の人がいたんだけど、誰だったんだろう?
プロデュースの召使いラーンス役の坂口涼太郎くん。
ラーンスは、いかにも召使いらしい感じ。最初のうちはプロデュースの勢いに押され気味にオドオドしながら出てくるけど、ミラノに行ってからは少しずつ変わって、大胆になっていきます。
そして最後は、上原くん演じる工事現場のお兄さんとハッピーエンド・・・なのか?(笑)
ラーンスくん、めっちゃかわいい~!ペットにしたい(笑)
ジュリアの侍女ルーセッタ役の保坂知寿さん。
存在感抜群のルーセッタです(笑)
ちょっとお節介なところもあるけど、ひたすらジュリアのためにいろいろ奔走し尽くしてます。
ジュリアを見守る姿に包容力を感じさせます。
でも、最後の場面でルーセッタの本音がチラリ?(笑)
プロデュースの父親アントーニオ役の斉藤暁さん。
軽妙なせりふ回しで会場を沸かせます。そんな中でも、しっかりプロデュースへの愛情を感じさせ、役を確立されているのはさすがですね。
他にも宿屋の主人役でも出てきます。
え~と・・・後は、アントーニオの愛人?後妻?をやってたのはエリアンナちゃんかな?迫力があって、なかなか良かったなぁ、とか、武田さんのキューピットにくっついて歩いてる小鳥役の小此木まりちゃんがかわいかったなぁ、とか・・・
これ以上はちょっと思い出せないな(^^;
半分参加型のとにかくパワフルで楽しくて愛をいっぱいもらえる作品でした。
とにかくツッコミどころ満載なんだけど、かなりアクが強くてクセになりますね。
少なくともまだ2,3回は観たい気分です。
でも今回は大学の単位認定試験の期間と重なったため、これ以上みることは叶わず残念です。
あ~、もっと観たかったぁ~!