『ピアフ』御園座公演初日

観劇感想

先日2月6日に『ピアフ』を観て来ました。
この作品は8年前に1度観劇したことがあるのですが、その時より細かい演出が変わっているところがいくつかあった気がします。

『ピアフ』はシャンソン歌手エディット・ピアフの波乱万丈な人生を描いた作品で、鬱展開が多いものの、随所に散りばめられた出演者たちの掛け合いが楽しく、重くなり過ぎない工夫がされています。そして相変わらず下ネタ多めです(笑)

エディット・ピアフの10代から47歳で亡くなるまでを演じ切る大竹しのぶさんの演技が圧巻。本当にピアフがそこに生きているようでした。そして無理のないかわいらしさ!さすがです。
歌声も全く衰えることなく、さらにパワーアップしていたように感じられました。


ピアフは16歳の時に産んだ娘が病気になった時に貧しさゆえに病院へ連れていくことができず死なせてしまった罪悪感があったり、目の前で恩人のルイ・ルプレが殺されてしまったことで恐らくPTSDを発症してアルコール依存に陥ったり、最愛の恋人マルセルが自分のせいで飛行機事故にあって死んでしまったと思い込んで自分を責めたりで、特に晩年は周囲からの救いの手を振り払って自ら不幸の泥沼に沈んでいくような人生を歩んだような印象。
2度も交通事故を経験し、後遺症による体の痛みをごまかすためモルヒネを乱用し、加えて以前からのアルコール中毒もあり免疫力が落ちてリウマチやら肝臓ガンやらを発症し、体はボロボロの状態。まだ40代にもかかわらず老婆のようになってしまったピアフ本人の晩年写真も見たことがあります。それでもピアフは、歌うためにステージに立とうとしてたとか。歌うことが彼女にとって唯一の心の支えだったのでしょうね…

ピアフの叔母が営む売春宿で働いていた娼婦でピアフのことを幼い頃から気にかけて最後まで見守り続けるトワーヌ役の梅沢昌代さん。大竹さんとの掛け合いも息ぴったり。ピアフにとっては友人というより姉のような存在なのかな?と今回見ていて感じました。

ピアフの友人となるアメリカの女優で歌手のマレーネ・デートリッヒ役の彩輝なおさん。
戦時中の場面の地味な衣装でもにじみ出る華やかさと色気、存在感が売れっ子女優の風格を感じさせます。アルコールやモルヒネに溺れるピアフを心配しつつも、彼女の尊厳を守り適度な距離感を保つ優しさが感じられます。
マレーネとは正反対の地味で従順なピアフの付き人マドレーヌの役もされていて、見事に存在感を消し控えめに振る舞う女性を演じてらっしゃいます。何も知らずに見ていると彩輝さんだと気づかないかも?マドレーヌとピアフとのやり取りは少しコミカルです。

路上で歌っていたピアフを拾って本格的な歌手に育てるクラブオーナー、ルイ・ルプレ役の土屋佑壱さん。
8年前に演じていたルプレを演じていた辻萬長さんはダンディで包容力のある父親のような存在というイメージだったのに対して、土屋さんのルプレはちょいワル親父風でピアフを離れたところから見守る近所のおじさんのようなイメージ。
どちらがいいとかではなく、同じ役でも演じる人によってイメージが変わるのが面白いのです♪

イヴ・モンタン役の藤岡正明さん。ピアフがイヴ・モンタンをデビューさせたいとアピールする場面で、『ピアフ』制作発表の時の動画で見た藤岡くんのコメントが頭をよぎって、ちょっとフフッて笑ってしまいました。
この方も歌が上手い役者さんです。ジャンルの違う2曲を見事に歌い分けてましたね。

上原理生さんのシャルル・アズナブールのピアフを見つめる優しい眼差しがステキでした。
推しの上原くんの歌声を7年ぶりくらいに生舞台で聴いてウルッときてしまいました。
ソロ曲は1曲だけでしたが、以前よりも声の音域が広がり無理のない発声でまた進化されたんだなぁってファンとしてはうれしかったです♪

ピアフのマネージャーであるルイ・バリエ役の川久保拓司さんは、初めはすごく軽い感じでピアフに戦争が終わったら僕をマネージャーにしてよとせがむのですが、いざマネージャーになるとピアフの無茶振りにも何とか応えようと奔走する有能ぶり。ピアフの才能に心底惚れ込み尊敬していることが伝わってきました。

ピアフの最愛の恋人マルセル・セルダン役の廣瀬友祐さん。
ボクサーの動きをよく研究されたんでしょうね。そして少しおちゃめな部分も垣間見えるマルセルでした。ピアフとは不倫関係ではあるものの、ピアフのこともちゃんと愛してたことが伝わってきました。

ピアフの最後の夫となるテオ・サラポ役の山崎大輝さん。
シャイだけど内に秘めた情熱と強い意志を感じさせる青年の雰囲気がよく出ていたと思います。
大竹ピアフとのデュエットも楽しんでいるのが感じられて良かったです。
テオとピアフの結婚生活は1年足らずで終わりを迎えてしまうのですが、ピアフの最後の場面も控えめながら優しくピアフに寄り添い、彼女を看取る姿が印象的でした。

ちなみにテオ・サラポはピアフ亡き後に残された膨大な借金も引き受け、ちゃんと完済したそうです。ピアフが亡くなった当時テオはまだ20代。彼はすごい覚悟を持ってピアフと結婚したんだなぁ。

オランピア劇場の支配人ブルーノ役の前田一世さん。
晩年のピアフが病に侵されボロボロの体を引きずりながらもステージに出て歌おうとする場面で、とてもえぇ声でピアフの呼び出しをされてます。そしてピアフが出てこなかったり、ぶっ倒れたりするたびに仕切り直しをするのですが、その時の微妙な表情の違いがまたいい味出してました。

この作品ではアンサンブル的役割を担っていた小林風花さん。
大きく目立つことはないですが、交通事故のケガがまだ回復してないのにステージ復帰しようとするピアフを叱る看護師さんだったり、トワーヌの同僚の娼婦だったり、市民だったり、記者だったりといろんな場面で活躍してらっしゃいます。

男性陣は全員、本役以外にもあちこちの場面でちょっとした役をそれぞれいくつか演じているので、どこにだれが出ているか探すのも面白いかもしれません。
パンフレットには本役以外の役も書かれているので大体分かりますけどね(笑)

抑え気味で感想書きましたけど、『ピアフ』という作品は、すごい語りたくなる作品ですね(笑)
初演から15周年ということもあり、役者さんやスタッフさん含め制作陣の熱意を感じる仕上がりになっていたように感じられました。

実は今回はコロナ直前の観劇以来、約6年ぶりの観劇でした。
コロナ禍が明けたらまた舞台鑑賞したいと思ってたのですが、体調を崩して仕事が続けられなくなり辞めたため、しばらく観劇どころではなくなってしまっていました。
ようやく少しずつ余裕が出てきたので、またぼちぼち観劇ができたらいいなぁ。

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